はじめての得意技
はじめて後ろまわし蹴りを教えたら、楽しそうに何度も繰り返し練習してみるみる上達しました。
きっと彼の得意技になるでしょう。
私も子供の頃、後ろまわし蹴りが大好きでした。
高校生になって、組手の試合で一度も勝てなかった時、電車でばったり宗家とお会いしました。
宗家に、「君は後ろまわし蹴りが上手なのに、なぜ組手で使わないんだ?」と聞かれました。
自分では、好きだけど上手とは思っていなかったし、相手から目を離すのが怖かったのですが、
次の大会で思い切って使ってみたら、見事に決まり一回戦突破、あれよあれよと優勝してしまいました。小さな大会でしたがとても嬉しく、初めて自信を持てるものが出来ました。
それ以来、後ろまわし蹴りが私のはじめての得意技になりました。
あの時、偶然宗家に会わなかったら、宗家の何気ない一言がなかったら、私は空手を続けていたかわかりません。私にとっては奇跡のような思い出です。
初めて後ろまわし蹴りの楽しさを知った彼も、空手に限らず、これから楽しい思い出がたくさん増えることでしょう。
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